長期経営計画作り合宿セミナー

5年後の目標B/Sを作ろう!

 社長には、自分の会社の財務状況を大局的に見ることを勧めている。
「会社は成るものではなくて作るものである」。これが私(原田)の中小企業コンサルタントとしての仕事の根底にすえている理念である。
 そのために役立つ、社長のための2つのチャートをこのブログで薦めている。
 P/Lとわが社の未来については、ほとんどの社長が、自分なりの理想や考え方、その作り方についての理念を持っている。しかし、B/Sについては、逆にほとんどの社長が、わが社の未来をどう作っていくべきかの手法に精通していない。これが、これまで数多くの社長さんと付き合ってきた私の実感である。
 今日は、これまでに説明したBSチャートを使って5年先の会社を計画するやり方を紹介する。

 下の図は、実績と5年後目標とするBSチャートを並べたもので、実績から5年後の理想とするBSを作る図表である。先ず、実績に基づいて、5年後にはこうしたいという目標値を決める。
5年後B/S
1.最初に直近の決算の実績B/S(左側)を作り、その下に現状の各分析数値を算出して確認する。
2.次に、5年後の売り上げ目標を決める。
  売り上げ目標を決めるときの参考として、次のような考え方を紹介している。仮に現在での潜在成長
 率を2%とすれば、この2%に企業努力3%を加算して5%の成長率は見込めるであろう。すると、5
 年後の売上は実績売上の1.28倍と考えることができる。
  年率5%の成長で5年後に何倍になるかの計算は、電卓で簡単にできる。やり方は、1.05と先ずお
 いて、「×」を2度押し、次に「=」を押す。すると計算結果は、1.1025になる。これは2年後の倍率
 なので、引き続き「=」キーを3,4,5と3回押してやる。計算の答えは、1.28になるであろう。
  この場合、実績の売上を1.28倍し、必要に応じ若干調整した数字を5年後の目標売上とすればよ
 い。
3.総資本回転率は、売上高÷総資本というのが算式である。これは、5年後の目標売上高と目標総資
 本回転率を決めると総資本の額が決まることを意味している。
  仮に現在の総資本回転率が1.5回だった場合、5年後の目標総資本回転率を0.1回だけ改良し、
 1.6回にするなどと考えればよい。
  それを目標BSチャートの総資本回転率の欄に記入することになる。
4.その後、目標売上高÷目標総資本回転率で目標総資本を算出し、目標BSチャートの総資本欄と総
 資産欄に記入すればよい。
5.以下、目標BSチャートの流動比率、固定比率、自己資本比率の5年後の目標値を設定し、順次算
 式から逆算してその他の目標値を算出し、記入することで5年後の目標B/Sが出来上がる。

 5年後の、目標とするわが社の形(B/S)が決まったら、次は、社長の仕事は、その目標実現のために、「ヒト」「モノ」「カネ」をどう組み立てるか、その実行計画を立てることであり、その実現に執念を燃やすことである。