先日、旭川市の近くまで出かけた帰りに、ある鮨屋で遅いランチをとった。
13時半を過ぎたころであったが、一組だけ先客がいた。
ランチは一種類だけで700円。「握りにしますか。丼にしますか?」と訊かれ海鮮丼にしてもらう。
写真のとおり、ちょっとした揚げ物などのオードブルと小さな鍋がついて700円はお得感があった。
食べ終わり、店を出るとき、店主も一緒に外へ出て、駐車場からバックで車道へ出るのを誘導してくれた。
そして、「ありがとうございました。お気をつけて。」と、深々を頭を下げられた。
少し走ってバックミラーを見ると、まだ見送っているのが見えた。
地方のお店で、このような接遇をされたことはない。イヤ、それは正確ではない。実は昨年の夏にも、この店でランチを食べたことがあった。そのときも、店の主はまったく同じ対応をされたのを覚えている。
この店の主は80歳は過ぎているであろう。失礼ながら、ご高齢で少し腰が曲がっておられる。
しかし、ごく自然に心からの笑顔であいさつされ、車を誘導し、見送っていただいた。暑かった昨年の夏も、そして雪のちらつき始めた今年も。
所在地は、北海道雨竜郡妹背牛町。女子バレー元全日本代表の吉原知子選手を輩出した町である。
そのJR駅から少し歩いた場所にある店(浜っ子鮨)だが、ほとんど人通りはない。あとで調べたところ、この11月1日現在の人口は2,992人とのことであった。
この小さな町で、今もほそぼそと営業しているこの店で、店主はこのような姿勢を貫かれていた。
たまたま立ち寄った昨年の夏も、そして初冬の今年の場合も、なんら変わらぬこの対応はホンモノであることを疑う余地はないと感じた。
故一倉定先生は、社長の正しい姿勢について、それは「いうまでもなく“お客様第一”である」と述べておられる。(『一倉定の社長学 第9巻 新・社長の姿勢p333』)
言葉としてはわかるが、実践するのはたやすいことではない。まして、徹底することはさらに難しい。
この店の主に、そのお手本を見せられた思いがした。