強いバランスシート、強い財務体質というとき、まず思うのは無借金経営である。私の「長期経営計画作成合宿セミナー」に参加する社長さんの中でも、どうやって無借金会社を作るか、何年で無借金会社にできるかというテーマを持って参加する社長さんも増えてきている。生き残りに不安のない会社というとき、まず思い浮かぶのは借金のない会社であろう。
ところで、買掛金も、未払費用もまったくないという会社はない。無借金会社とは、有利子負債がないという会社である。銀行からの利息のつく借金はないが、支払手形は振り出してある会社も無借金会社といえるだろう。しかし支払手形は、一度でも不渡りを起こしたらその会社は頓死するということを考えると、銀行からの借入はあるが支払手形はないという会社のほうが、無借金だが支払手形はあるという会社よりも、いざというときには粘り腰を発揮して生き残ることもできる。
生き残り、勝ち残りを保証してくれる強いバランスシートは、必ずしも無借金のバランスシートでなければならない、ということではない。むしろ、企業がより強く成長するためには、銀行の力を借りて成長することも必要となることもあるし、有利子負債があるから一概に弱い会社だともいえない。強い会社とは、いつでも銀行が金を貸してくれる会社。そして銀行との約束通りに借金を返せる力を保持している会社である。このような会社は、理想的な強いバランスシートを持っている。