長期経営計画作り合宿セミナー

目的は勝ち残り、目標はバランスシ-ト

 景気が悪くなる度に、中小企業の課題としてよく言われるコトバが「成り行き経営から戦略経営へ質の変換」である。「戦略経営」は、わが社はどうあるべきかという目的と、そのためには何をなすべきかという目標(手段)を明確にするところから始まる。
 「目的はパリ,目標はフランス軍」こう言ったのは戦略論の大家、クラウゼヴィッツである。戦争で究極の目的と、その目的を実現するための目標(手段)を混同してはならないということを、明確に述べたクラウゼヴィッツの比喩である。
 戦争の最終目的は相手の国に勝つことである。もし相手の軍隊と戦わずして勝つことができたら最高である。孫子のいう「最高の戦略は戦わずして勝つにあり」である。

 ゴーイングコンサーンとして企業を考えるとき、戦略経営の最終目的は、隆々として勝ち残れる企業を作ることである。隆々として活力ある企業とは、シッカリした理想的な財務体質を持った企業、つまり優れたバランスシートを持った企業である。決して売上が大きいとか、利益が大きいとか、キャッシュフローの額が多い企業ではない。もちろん、売上が大きく利益も確保されており、キャッシュフローの額が多ければ、それに越したことはない。しかし、利益やキャッシュフローは、企業存続の必要条件ではあっても十分条件ではない。
 企業、特に中小企業存続の十分条件は、理想的なバランスのとれた強い「バランスシート」であり、そして、その理想的なバランスシートを継続して維持していくことにある。

 戦略経営というとき、「目的はゴーイングコンサ‐ン(勝ち残り)、目標はバランスシート」である。
「5年連続目標BSチャート」は、勝ち残りという企業目的を達成するために、必要な目標を5年間に渡って展開するために設計された表である。まず現状を確認し、そして初めに目的ありという経営姿勢を具体化するための表である。
 通常5年後の経営目標というと、5年後の売上であり5年後の利益を、つまり損益計算書を目標とする会社が殆どである。
しかし私は、勝ち残りという目的を遂げるためには、損益計算書を目標とするだけでは不十分であり、「貸借対照表」こそ目標とすべきであると強く主張する。その意味でも「貸借対照表を欠いた経営計画は経営計画ではない」と、常々言っている。