長期経営計画作り合宿セミナー

最初に目的あり (どんな会社にしたいのか)(2)

- 続・目的(ビジョン)なくして戦略なし -

理念、特に企業理念とは、経営活動の基本となる行動指針を指す。
社長として、どんな会社を創りたいのか。その想念の前提あるいは根底には、ビジョンと理念が欠かせない。
かって、私は、社長にとって必要な理念とは、理想と信念であると説明してきた。最近は、理想と執念と置き換えて説明している。私が付き合った優れた社長は、どんな会社にしたいかという理想と、それを実現したいという執念を感じさせる社長である。信念という以上に執念とも言うべき、どろどろしさと生臭さを感じさせる社長が会社経営に成功している。これが私の感想である。

ところで、執念を燃やすべき対象である理想は、社長個々人によって違うであろうが、ここでは社長が理想とすべきは、5年後のバランスシートであると言いたい。
これから展開する「元気にするシステム」は、ビジョンとして5年後の目標B/Sに焦点を置いて設計する。
ビジョン、つまり実現すべき理想が決まったら、次はその理想と現実とのギャップの確認である。
ビジョンが明確になってはじめて戦略が生まれる。戦略とは、理想と現実との、ギャップを埋める手段である。 理想と現実とのギャップは、企業のあらゆる面に現れる。製造、マーケティング、人事、給与システム、財務。これらの各機能ごとに戦略が必要となる。

「経営者にとって一番必要な条件は、論理的に考える力を持っていることである。なぜなら、経営は論理の積み上げだからである」と言ったのは、クロネコヤマトの実質的な創業者とも言うべき、小倉昌男氏である。「社長の仕事は、考えて、考えて、考え抜くことである」とも言っている。
そして何をするかを決定し、自らが先頭に立ってそれを実行することが社長の仕事である。
社長がまず考えるべきことは、わが社の理想とするバランスシートはどういうバランスシートか、そしてその理想とするバランスシートを作るためには、何をすべきかを考え抜いて決めることである。

私は、中小企業の社長は、総司令官であると同時に参謀でなければならないと思っている。大企業は、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、企画、戦略立案担当者がそれぞれ分業しているし、それに相応しい人材を採用し育成に努めている。
しかし中小企業では、そんな分業をする余裕もないし、人材にも恵まれていない。社長がこれらの役割を一人で担わなければならないのが現実である。とすれば、それでなくとも多忙な中小企業の社長が、考え、決定するための道しるべともなるツール、あるいはシステムがあるに越したことはない。ここに会社を「元気にするシステム」を提唱するいま一つの所以でもある。