長期経営計画作り合宿セミナー

利益なくして改善なし (元は利にあり)

 これまでに、わが社の現状確認の手段として、PLチャートとBSチャートの2つの図表の活用を勧めてきた。そして、社長のなすべき大事な仕事として、わが社継続の目的・目標をハッキリさせることの必要性も説明した。そのための方法として、5年後のわが社の目標BSチャートを作ることを提案した。
 なお、PLチャートは、すでにご存知の方も多いと思うが、もとは西順一郎氏が、経営教育と、戦略会計教育用のツールとして開発したマネジメントゲーム(通称MG)といわれる経営教育ゲームの中で使われている収益の仕組みを説明するためのチャートである。このチャートは、直接原価計算の仕組みを説明するには最適のチャートであり、これまでの私のコンサルタント業務のなかで非常に重宝させていただいた。
 BSチャートは、このPLチャートに触発されて、バランスシートの仕組みを大きく分りやすく説明するために私自身が開発したチャートである。このBSチャートを使って説明するようになってから、数多くの社長さんのバランスシートに対する理解を深めるのに大いに役に立ったと自負している。

 さて、5年後のBSチャートは、到達すべきゴールであり、目標である。この目標実現には、5年間で確保すべき利益が計算されている。利益なくして繁栄なく、利益なくして改善はない。
 利益を上げるための方法として「利は元にあり」という言葉がよく喧伝される。極力安く仕入れることが利益につながるという、ある意味では当然の説明である。しかし仕入れ値を安くするということは、利益を上げるための1要素にしか過ぎない。
 収益構造を高収益に改善するには、仕入れ以外の幾多の要素が絡んでいる。このことはBEP(損益分岐点)比率の改善という視点から見ていく必要がある。いずれにせよ、利益なくしては、自己資本比率をはじめ、わが社の各数値を改善することはできない。その意味で会社改善のためには、先ほどの「利は元にあり」をひっくり返して「元は利にあり」と言いたい。